2015-12-21

アルクのユーザーミーティング 「私のとっておき利用法を紹介します」レポート (3)

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前回のユーザーミーティングレポートに引き続き、今回(最終回)は、「英辞郎 on the WEB Pro」の頻度集計機能、翻訳業務への「英辞郎 on the WEB」活用法をご紹介します。

「英辞郎 on the WEB(Pro)」と『英辞郎』を使い倒せ!

~私の使い方を紹介します~ その4



「頻度集計の活用で、より自然な単語の組み合わせを確認しながら英文を作成」
スピーカー:O・Sさん(通信/法務系)



通信系の企業で法務関係の仕事を担当しているOさんは、英文契約書の作成などで英語を使う機会が頻繁にあるそうです。英文契約に加えるコメントや海外顧客とのやりとりでは、礼儀正しくかつ、依頼や提案といった細かいニュアンスを的確に伝える必要がありますが、決して英語が得意というわけではなかったOさんは、業務のサポート役として「英辞郎 on the WEB Pro」(以下、EOWP)を4、5年前から愛用。きっかけは、チームの先輩に勧められたことだそうですが、「使えば使うほど良い面が見えてきた」と言います。

■動詞と相性のいい副詞は、「頻度集計」機能で探す

例えば、「ありがとうございます」を丁寧に伝えたいとき、appreciateとどんな「副詞」を組み合わせるのがよいのか、すぐにはピンときません。そこで利用するのが「頻度集計」機能。このコロケーション表示を利用すると、検索した語句の前後で、どんな単語が頻繁に使われているのかが分かります。例えば「appreciate」と検索窓に入力した後、検索結果の右上にある「頻度集計」をクリック。結果にはappreciateの前後3語目までが多い順に表示され、「本当に」に相当する語句としてはreally、greatly、sincerely といった副詞をappreciateの前に付けると相性がよい、と分かります。また、後に続く単語にはthatがあり、that節を続けてよさそうなことも分かります。確認のために「appreciate that」で英和検索をすれば、確かに「~してくれたことに感謝しています」という意味の例文がヒットします。



※頻度集計画面右上の「頻度集計設定」を利用すると、「指定した単語を除去して集計する」の設定によって、the、a、I、his など、不要な単語を結果表示から除去することができます(除去したい単語が複数ある場合は、「カンマ+半角スペース」で区切る)。

また、便利な表現に出会ったら、その内容をエクセル表にコピーして、後で使えるように整理しているとのこと。自分が見つけたフレーズとともに、相手から受け取ったフレーズも蓄積していくことで、表現の幅を広げているそうです。


~私の使い方を紹介します~ その5


「ブラウザの1つを“英辞郎専用”にして作業効率をアップ」
スピーカー:S・Oさん(化学メーカー/開発)


化学系メーカーで製品開発、不具合対応、基礎研究などを担当しているSさん。英語は、メールや技術資料作成、社内外の会議、論文・特許のチェックなど、多方面で日々使用しています。「英辞郎 on the WEB」は、無料版を7年使用した後、有償版のEOWPに移行して2年が経過。現在は、iPhoneやアマゾンのタブレット端末FireHDでも利用しています。

■EOWPは、広告非表示だから職場でも使いやすい

Sさんが有償版に移行した大きな理由は、広告が表示されないことと、小窓モードが使えることの2つ。前者は、職場でWebサービスを利用する場合、余計な情報が表示されない方が堂々と使いやすいため。後者は、小窓モードの小さいウィンドウを画面の隅に置いておけば、メイン以外のスペースで別のアプリケーションを開いて、英語の検索とその他の作業を効率よく進めることができるから、と言います。


Sさんの作業環境でユニークなのは、一般の情報を調べるためのウェブブラウザーと、英語の辞書検索をするウェブブラウザーを分けて使っていること。前者にはInternet Explorerを、後者にはChromeを割り当てています。
「ネットで調べものをしていると、追加情報を追いかけて次々に新しいページを別タブで開いていくことが多く、1つのブラウザーを使っていると、EOWPのタブが埋もれてしまいます。その点、ブラウザーを分けて使えば、タスクバーでアイコンをクリックするだけですぐにEOWPの画面を呼び出せるし、元のブラウザーや作業アプリの画面にもすぐに戻れるため、快適に作業が続けられます」。

英語の辞書検索は、言わば、本来の研究や調査作業を中断する行為。できるだけ素早く画面を切り替え元に戻れるようにする一工夫で、使用のストレスを軽減しているのです。

~私の使い方を紹介します~ その6

「瞬時に人を惹きつける、インパクトのある表現を探す」
スピーカー:佐々木美幸さん(外国政府機関/通訳翻訳)


外国政府機関の通訳翻訳官である佐々木さんの仕事の1つに、そこで働く日本人従業員の投書を英文に翻訳する、という業務があります。平たく言えば、現場からの要望やクレームを英訳する仕事ですが、この仕事ならではの特徴は、投書の読み手が軍将校であることと、書き手が匿名であることが多く、内容に不明な点があっても真意を確かめられないことだと言います。将校たちは多忙なため、 “普通の英文”では、後回しにされる場合があります。そのため、限られた情報を元に、インパクトのある英文に再構成する必要があります。「特に日本人の苦情は、文章が感情的で冗長なことが多く、翻訳者泣かせですね」と佐々木さん。元の和文の背景にある日本的な感情や論理を、そのまま訳しても外国人には共感されないことが多いため、文化や立場が異なる人にも明快に伝えることを意識しているそうです。

そんな佐々木さんは、EOWPを「表現探し」の資料として活用。日本人の視点で書かれた文章を英訳する際、よりふさわしい英語表現がないか、アイデアを練るときの材料にしています。

例えば、和文で「彼は、好き嫌いで人の扱いが違う」という内容を英訳する場合。普通に直訳すれば、
His handling of people is different depending on whether he likes that person or not.
などとなり、これでも十分、意味は伝わります。しかし、忙しい高官に「ぐっと迫る」英文かといえば、少々疑問。そこで、EOWPで「人の扱い」を検索してみます。すると、treatを使った表現が見つかり、日常的に多用する動詞のため、こちらの方が適切と考えます。また、「好き嫌い」で検索すると、
likes and dislikesという表現が見つかり、同じく頻出フレーズなので、次のように書き直します。
He treats people differently on the basis of his likes and dislikes.
よりコンパクトになり、意図が端的に伝わり瞬時に心をつかむ一文となりました。

さらに、EOWPで見つけたフレーズでも、疑問を感じた場合は、Googleで「フレーズ検索」(調べたい語句を“ ”に挟んで検索すること)を必ず行います。
ヒット件数とその文脈を信頼できる英文サイトで再確認することで、意図する意味かどうかを判断していると言います。英訳したい語句を検索したときに、ピンと来るかどうかで翻訳者の力量が問われる、と佐々木さん。質の高い翻訳をするために、日頃のインプットを大事にしているそうです。


最後にいくつか今回のユーザーミーティングに参加した方からいただいた感想やご要望をご紹介します。

■「日本語+英語」の検索ができることを知って感銘。例文が豊富で、政府の公式文書のデータも収録されているので、行政向きの文章の書き方が分かってありがたい。(40代・女性・大学教員)

■実際の機能を、独自の工夫で使っている方の話が興味深かった。意味が多い単語については「通常は○○として使う」のような付記がさらに充実されればよい。(50代・男性・翻訳)

■仕事では定型文書を英語で作ることが多いが、同じ単語を何度も調べてしまうので、単語帳が便利そう。仕事で使う専門用語が豊富な点が助かる。(50代・男性・製薬)

■和英検索だと、英単語の発音を確認するためには、英和の再検索が必要なのが残念。リンク機能をもっと強化してほしい。(40代・男性・会社員)


お寄せいただいた声を参考にして、「英辞郎 on the WEB」をこれからも進化させていきたいと思います。